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【日録】

 今日先日交詢社での講演録の推敲と新聞寄稿の凡その推敲を終えた。疾風怒濤がだいぶ終息。後は近刊の為に7月は走る事になるが、同時に江戸思想や保守思想の集中読みも並行できるところまで仕事が片付いた。今日の伊豆は素晴らしい晴天だが、爽やかな風が吹き抜けて昨日のような炎暑ではない。パルジファルを聴いた。明日でカラヤンのヴァグナー部分を終えたい。吉川英治対談集を久しぶりに読み始めたが実にいい。人間性が言葉の隅々に表れる。謙虚で明るく求道的。我が国は長らくこういう人間が標準だったのだが。川端との書画骨董談義など横綱二人の目の力を存分に愉しめる。菊池寛にやめとけやめとけと言われて梁楷を買いそびれた話などまことに愉快。見識も際立って高い。如是閑とは、中里介山と自分の違いなども遠慮なく語っていてこれも興味深い。徳川夢声とのものが楽しみだ。
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【日録Ⅱ】

 伊豆自宅。新聞原稿と単行本の口述でこの時間になってしまった。昼過ぎに山を降りて近所のスーパーマーケット。この時間が実に楽しいんだね。いつものようにトマト、キュウリ、とうもろこし、豆腐、アジはその場で刺身用に捌いてもらい、明日の昼用のビフテキ用の肉など。私のダイエットの先生に倣い今日はビールでなく缶のハイボールを買った。これからパルジファル。青い空、海のうえの入道雲、緑がその青と白に映える事! 今頃が一年で一番色鮮やかな伊豆なのである。いい加減政治的な文章の仕事ばかりで仕方ないとは言え気が腐るので、今日はたっぷりしたいい小説を読むとしよう。数日で読み切る事を考えるとアンナ・カレーニナというわけにはゆかない。日本の近代小説で。まあ谷崎、荷風となると私には定番すぎるから、初読の昭和文学を探すとしようか。

【日録】

 昨晩から伊豆自宅に戻った。東京にいると心身が病み疲れ易い。こちらも朝から暑くなりそうな予感はするがさすがに爽やかだ。今日は新聞原稿に早朝から集中し、目処を付けた後は外交論の口述。結局この二週間そこまででへとへとになる日々だったが、今日は、源氏少女、パルジファル1幕への前奏曲と三幕、会田弘継氏『破綻するアメリカ』読書などに入れそうだ。昨晩、酔余、フルトヴェングラーのブルックナー第8、有名なライヴ録音(1949・3・15)の音が大変改善したボックスを1,2楽章聴いて感無量だった。ステレオ装置も紀尾井町会議のFさんの助言で大変よくなり、何とも立体的な――まるでステレオのような――音で響く。誰にも不可能な生き物のように動き、呼吸し、歌い、吐息をつき、祈るという演奏。その後、アマデウス弦楽四重奏団のベートーヴェン132。後期ベートーヴェンや、逆に初期のピアノソナタを聴くと、大学時代に心が戻る。下宿で毎晩、友達と酒と議論と音楽。あの頃を一番蘇らせるのが初期と後期。またあんな暮しがしたいが何よりも談論風発の友たちが消え……。

【油断を自戒せよ】

 Hanadaの拙稿「小泉進次郎氏への直言」の真のターゲットはこれを読んでおられる皆さんを含め、全日本人である。大雑把に読んで小泉氏への苦言だと取られて「わかった」と錯覚されるのが一番困る。そんなに簡単に「わかる」ことは書いていないからだ。
今、世界史的大変動と日本の国家的な低落と解体がほぼ確実な状況を、安倍氏が幾つかの英断を重ねてレジームチェンジした。これしか生き延びる道がない。したがってこの「安倍レジーム」を理解し、踏襲できる人以外が首相になると日本は短時日に致命的に落ち込む可能性が高い。ご苦労な事だが安倍氏には三選目を務めていただき、その間に皆さんも含め、心ある日本人が「安倍レジーム」の意義を周知徹底し、その先を行くリーダーしか総理総裁候補たり得ない国にしてしまう必要がある。
来月前半に出す別の月刊誌寄稿には、日本が情報謀略の中にある危険を書いたが、韓国では文字通り赤化=自由社会の終焉が演じられている。今の状態を放置すると安倍政権後、日本もそうなる可能性が高い。
国民意識がよほど先回りして変わらないと日本の明日は韓国化、中国併呑、大陸基準の他責と全体主義と閉塞になり、国体を失うに至るであろう。安倍時代の国力改善で、油断が大きすぎる。

【国民文化研究会講演】

 昨日は、国文研での講演。「今、国民が目覚めるべきこと――水戸学・象山・松陰」と題したが、水戸学、象山は今回は取り上げず、松陰の『留魂録』を原文で通読、解説する形に替へた。最近、江戸思想の意義を講演で説く事が増えてゐるが、今回は松陰の文章、人柄、風懐そのものに触れる事が歴史に触れる事だ、そしてそれが今の日本の重大な危機に際して必要なのだといふ考へからだ。
 国文研は、小林秀雄が6回も講演に出、それらがCDになつてゐる。今回は、私の大学時代の事、そして小林の昭和49年の講演カセット『信じることと考へること』との出会ひが、私の運命を決したエピソードから講演を始めたが、奇しくも理事長も、私の前に挨拶に立たれた会員の方も昭和49年の講演で始めて小林に触れたといふ。縁である。講演の中で小林の口調を少し真似たのは好評だつた(笑)
 今回は、今の日本最大の危機は全体主義化だといふ点を、小池新党による政権交代の可能性があつた事、森友加計の謀略性、特に北朝鮮の核ミサイル実験隠しと、対北最強硬派の安倍氏失脚を狙つた連動性に力点を置いて語つた。
 『留魂録』は原文で読み、解説を加へたが、松陰の辞世五首、そこから小林秀雄の昭和15年『文学と私』の末尾、松陰の辞世を引用して終る一節、その一年後に勃発した日米戦争と無数の英霊の遺書に触れるに及び、涙が出たと多くの聴講者から伺つた。実は私自身が話ながら感動してゐました。
画像に含まれている可能性があるもの:1人、立ってる、室内

【日録と感想】

 月刊誌初稿、メルマガ初稿仕上げたが、既に疲労著しい。これから明後日の講演の概要を固め、外交論の口述。午後は留魂録、日ロ関係資料読み、パルジファル1幕への前奏曲、三幕をクナ、カラヤン、バレンボイムで。クナは1962年ステレオ標準盤。クナがパルジファルに終生大きな情熱を持ち続けた優れたヴァグナー指揮者なのは確かだが、パルジファルといふ前衛的で思想上も大変な問題作とクナは親和的でないと思ふ。その事を指摘する演奏論がないのが不思議。会田弘継先生からフランシス・フクヤマ氏『政治の衰退』をお送り頂く。早く私自身がかうした仕事に入りたい。6月を乗り切つたら江戸思想と並行して、実に25年越しの志である近代の総括と超克の試論に入る。政治、テレビ・朝日批判といふ回り道も回り道ではなく、私の成熟に必要だつたのだらう。日本の病理を告発しながら自分の本当の畑を耕し続けたのだから。

【新刊のご案内】

扶桑社新書より『一気に読める 戦争の昭和史』が7月1日刊行されます。KKベストセラーズから3年前に刊行した同題書の新書改訂版です。大筋の改訂はありませんが細部を多数修正し、当面の定本とします。
端的に言えば可能な限り当事者としてのその時に自ら立って、戦略的な観点から歴史を読み解いた本です。そこに戦史や人間ドラマ、思想史も織り交ぜてコンパクトな中で時代を浮かび上がらせようと努めました。
まだお読みになっていない方はぜひこの機会に私の戦前史観の一端をご一読くだされば幸いです。既に旧著を購読されている方も、この折に再読くだされば幸いです。→どっちにしても買ってくれということか?! あっそういうことになるね(笑)
〇新書版後書より
「私たちは、どうしても「日本」というと今の日本列島を思うが、当時の「日本」は、韓国を併合し、満州に広大な属国を持ち、中国大陸で連戦連勝中である。もしドイツが賢明に立ち回ってソ連と対立せずにイギリスを倒し、日本が東南アジアを支配したら(これは日米開戦直後に実現した)、援蔣ルートも止まり、中国まで日本に帰属するに至ったであろう。こうして空前のアジアの大帝国が出現する可能性はあったのである。それだけの規模の帝国を長期間維持する能力は日本にはなかったとは言え、当時の大日本帝国が破竹の勢いで拡大し続けていたのは事実である。ソ連だろうとアメリカだろうと、巨大化し続けるマグマのような侍の国を強烈に抑え込もうとするのは、寧ろ当然だったろう。しかもその頃の日本は、軍と外交の意思が分裂していた。何をしでかすか分からないという事だ。更に言えば、日本民族そのものが、言語も歴史も孤立し、国際コミュニケーション能力も乏しい。列強諸国から恐怖と猜疑と嫌悪で見られていたのは間違いない。これは誰が戦争を仕掛けたかとか、仕掛けた側が良いか悪いかという話以前の当時の「光景」なのである。」

【日録】

大阪北部地震の被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げると共に、余震など被害が広がらないようお祈りしています。
 昨晩は日本平和学研究所の國體研究会。山崎闇斎の『大学垂加先生講義』。朱子の大学章句を晩年の闇斎が垂加神道の弟子たちに講義した筆録。読み始めたばかりだが、江戸の学問、朱子学の基本を皆で押さえながら有意義な学問の一時。
一方原稿は過酷な状況が続く。6月は対談集のゲラ、緊急出版の大量な初稿、月刊誌寄稿、メルマガ寄稿、新聞連載、講演が続く。音楽評論もカラヤンまでを何としても終らせたい。江戸学、保守論などに早く入りたいが、7月から一気に没頭できるために6月は乗り切らねば。
 今日は安全保障論、パルジファル2幕をカラヤンとクナッパーツブッシュ。日米関係資料読み込み。気晴らしを兼ねて山岡荘八の『吉田松陰』。
画像に含まれている可能性があるもの:3人、、小川 榮太郎さん、坂本治久さんなど、、スマイル、座ってる(複数の人)

【日録】

昨日は、母が指導、指揮する合唱団のコンサート。勝田台文化センターにて。一昨年までは父も歌っていたが、急逝した後も、母が休まず続けてくれているのが息子としては本当に有難い。団員の皆さんも素晴らしい情熱で続けてくれている。母は実年齢よりかなり若く、親子と思われないことも多い。かと言って夫婦というわけにはさすがにね(笑)
イタリアオペラ歌唱戦後派世代の先駆けの一人だったが、父との結婚でキャリアを断念、しかし20年以上取り組んでいる合唱指導は、発声の指導と歌詞への想像を徹底し大変街の合唱団離れしたもので、音楽的に大変充実している。高音と声量にはピークがあるが、『大地讃頌』の冒頭の空気を震わすような美しさは著名指揮者とプロ合唱団の幾つかのレコードを凌駕するほど。と書くと身内褒めかな(笑)

【近代文学の業】

 月刊誌修正を提出。思いの外時間がかかり、根底的なテーマを出す力作になってしまった、まあそう受け取ってもらえるかどうかは分らないが(笑)
 政治関係の執筆が猛烈に続く。文学、思想、音楽の仕事が遠のかないようペース配分に気を付けたい。私には文学の業に没頭するのが何といっても性分に合っている。文士が消え、文壇が消えてしまうと、「文学の業」でなく「文人の高雅な孤独」になってしまう。私はそんな趣味人ではないので、文学の業の代りに政治の業に関わってしまったのかと今、ふと思う。そう、ここでも私はおそらく、政治の業に興味があるので、取り澄まして正論を語る事になど興味はない。
 文学の業、言葉による強烈な精神の発露――要するにどこまでも私は近代文学の子なのである。今、思想と政治、本来の私の世界ではない二つに関わっているが、やはり私は近代文学の世界の人間だ。言葉、言葉、言葉。文学、文学、文学。切に戻りたい。
 それにしても腹が減った。冷蔵庫に何かあるかな。

【安倍外交・安全保障の次の道】

安倍外交の構想は自由社会による対中包囲網にあるが、中国のポストアメリカ覇権戦略が包括的である以上、対処療法や価値観の提示だけではいずれ時代に越される――これを正論4月号に書いた。イノベーションの積極的な保護育成(日本は実に遅れている!)と知識人の再生、軍事学、インテリジェンスの国家による主導が組み合わされなければ、官邸主導や総理の天才的個人プレーを軸にした動きだけでは無理だ。経産省、文科省、外務省、防衛省……うーん。全く新しい国家戦略室を現状の官邸対応、NSC以外でもう幾つか立ち上げ直さないと対処は無理だろう。マスコミ、野党、自民党政局派が、こうした真の国家的主題を妨害し続けるので、私も忙殺されてどれだけ無駄道をしていることか。
今朝は、早朝の新幹線で東京に戻った。東京と伊豆、研究執筆を軌道に乗せる為に一週間交代で過ごしたいのだが、なかなかそこまで戻せない。月刊誌仕上げたのでこれから安保論。今日、パルジファル2幕を引き続き聞けるかどうか。源氏が読めてない。今日は2頁でも読もう。

【米朝日雑感=言葉のやり取りしかない時に有利なのは、元々有利な方なのだが…】

米朝会談についてよく分らない批判が多い。体制保証だけしておいて核放棄の不可逆もプロセスも決めてないから失敗だと言われても私にはさっぱりわからない。体制保証、核放棄、どちらも言葉に過ぎない。北がどんなにアメリカをおちょくってもアメリカは体制保証しなければならないが、半島の非核化と明記してあっても、北には幾らでも抜け道があるというのはどういう理屈なのだろう。
友好ムードの中で北朝鮮が密かに核開発を続けるのが怖いというが、それはアメリカがそこまで間抜けでは怖いという意味でしかない。安倍氏は従来の北朝鮮の騙しの手口とアメリカの弱腰を再三且つ詳細にトランプ氏に説明している。それで騙されるなら余程馬鹿かよほど金氏に惚れたのだろう。馬鹿やべた惚れに付ける薬はないから、その時は諦めるしかないが、私はトランプ氏をそうは見ない。
言葉のやり取りしかない時に有利なのは、元々有利な方である。つまり軍事的な優位に立つアメリカであり、首脳同士が極めて緊密な関係にある経済と技術力ある日本だ。
騙されてはいけないというが交渉しなければ騙されようもない。TPPの時も交渉するだけで日本がアメリカにぼろ負けすると保守派一部が絶叫していた。負け犬根性の強硬派ではなく、勝てる道を考える議論を積み重ねたいものである。

【感想】

そもそも北朝鮮は昨年のような挑発をしなくとも4年程前には核を保有している。いざという時、その核と通常兵器数百発を、アメリカの同盟国たる韓国日本にぶち込めるだけで「対アメリカだけなら」体制保証には充分だった。まして日本は米軍基地そのものなのだ。それを去年あそこまでアメリカを直接刺激した。自爆テロか計算があってのことか私には分らなかったが、今なら計算があったと考えるべきだろう。北朝鮮の立場から戦略を見る見方が少なすぎる。〇さて、先日伊豆への帰路、吉田松陰を久しぶりにパラパラ拾い読みしたが、彼は本当に素晴らしい。文章も思想も人間性も「近代の天才」であり、一方で日本の粋である。〇今日は月刊誌、安全保障論。パルジファル2幕、3幕をカラヤンとクナとバレンボイムで。バレンボイムのヴァグナーは今更だが圧倒的だ。50代でよくこれだけの仕事をしたと今度熟聴して驚いている。ほぼ全面的にカラヤンのヴァグナーを凌駕しており、ヴァグナーレコードの規範としていい。日本の音楽評論界の評価の圧倒的低さがこれまた驚き(笑)〇今年から来年はどうしても私がここまでの人生でやってきた全領域それぞれで残る本を出したい。全力疾走。

【米朝雑感】

米朝首脳会談については辛口の論評が目立つが、私はそう思わない。そもそも米朝会談が金氏側の懇願で実現したことを世界の論評は余り簡単に忘れ過ぎていないか。懇願せざるを得ない程厳しい状況だと認識しているのだ。その北朝鮮の最高指導者を国際交渉の舞台に乗せ、トップ同士の継続交渉に合意した事は大きな変化だ。米軍の北朝鮮への制圧能力はかつての米朝危機時より遥かに高く、緩めるつもりも全くあるまい。潮匡人氏の著書名がずばり表現しているが『安全保障は感情で動く』。トランプ氏を怒らせたらどうなるかを金正恩氏が肌で感じたに違いない。更に世界最強硬派の安倍氏が極めて密接にトランプ外交を指南し続ける。しかもアメリカは国務省ルートでなくCIAシフトで事を進めている。そんな中、ホワイトハウスに招待された後でアーカンベーする度胸があるかねえ、逆に言えばアーカンベーの動きを米側=国際諜報網にキャッチされながらホワイトハウスに行く度胸があるかと言い換えてもいいが……。これ以上の分析は少し時間を経て新聞などで発表する。昨日伊豆に戻った。安全保障論、月刊誌執筆が続く。今日から安保論の胸突き八丁とならびカラヤン論完成の胸突き八丁であるパルジファル、バラの騎士などを聴く数日。

【アジアの大変動】

アジアの大変動が生じると私は見ている。安倍首相、トランプ大統領、プーチン大統領、習近平首席、そして明らかになってきた金正恩氏の人間像と狙い。これ以上絶妙な人材配置はちょっと望めない。綱引きと情報と大きな安保上の布置布陣の変化と、マスコミや有識者の際限ないお喋りが続くであろう。昨日、今日と、私は月刊誌原稿と安全保障論の執筆。なかなか大変。昨日は山鹿素行の山鹿語録。源氏少女。クナッパーツブッシュ指揮のパルジファル一幕。夜は会合。銀座の闇に飲み込まれ、そこから再び吐き出された経緯については聞かないでほしい。

【正常化へ一歩一歩】

新潟県知事選に花角氏が当選し、反安倍狂騒連合が左派優位の県で通用しない事が見えた。反日洗脳よりも常識の浸透が勝った事に愁眉を開く思いだ。新潟知事選に負けると安倍政権に打撃との観測の中、党からの再三の慫慂にも拘らず知事選の応援を固辞し、逆に安倍批判を強めていた自民党執行部の一員、小泉進次郎氏の見識と今後が問われる。
 一方G7でトランプ氏と他の首脳の間で激論となったのは寧ろ日米欧の首脳が一堂に会する意義の再確認になった。トランプ氏が駄々をこねても二国間関係でなく自由主義圏の多国間首脳関係を重視する一貫性を身に付けてくれればと期待したい。氏によるロシアの復帰の提案も極めて興味深い。欧vs米ロに調停役の安倍氏という構図は平和的均衡の為の中国包囲網になり得るからだ。ただし日本の首相が安倍氏であるという条件付きだが。
 米朝会談は前向きな結果に向かうと強く期待している。これから9月の国連総会のタイミングに向け、安倍氏の力量が問われる重大な季節にアジア情勢は入る。国内政局から安倍氏の足を引張るのは誰にせよ止めた方がよかろう。

【評価】

評価というものは千差万別、結論の違いを私は全く気にしない。音楽評論の仕事――にまだなっていないが――で世話になっているTさんという方がいる。指揮者ティーレマン氏が秋に来日するのに関連してお願いをしているが、ティーレマンやラトルの評価になると、私は前者、氏は後者を高く評価して譲らない。時に激しいやりとりになる。最近の若手ピアニストに関しては、トリフォノフ、アームストロング、先週紀尾井ホールでベートーヴェンをやった河村尚子を絶賛し、この辺は完全に意見が一致している。
 しかし今朝電話でのT氏からの質問「ところであなた、ティーレマンとバレンボイムとはどっちを高く評価しているの?」にはまいった。笑って「いや、そいつは困ったなあ」と私。

【日録】

思想の仕事に早く全力を投入したいにも拘らず論壇的な仕事が重なり、焦燥の日々だ。指揮者論と文藝対談集は年内刊行を目指してゐるから4つ、5つのテーマを同時にこなしてゐる事になる。今日は外交論口述、文藝対談推敲は対談の三本目に入る。カラヤン論推敲。外交資料読みとパルジファル1幕をクナッパーツブッシュ指揮。6月、7月が胸突き八丁。焦らずに一つ一つ完成させてゆきたい。
昨晩はウェルザーメスト指揮クリーヴランド管のベートーヴェンチクルス最終日、大フーガと第九。これは素晴らしかつた。率直な、そして速いテンポで一気に駆け抜ける第九だが、ニュアンスは無限、流してゆきながら歌に満ちた至芸だ。私はフルトヴェングラー、バレンボイム、ティーレマンの重厚長大な演奏が好きだが、かう見事に音楽に溢れてゐればスタイルや解釈などどうでもいい。尤もメストのは最近の軽快なスタイルではない。コントラバス9、チェロ11と、最近ではマーラーでもお目にかからない最大規模の弦に管もかなり補強して、寧ろ編成はバレンボイムなどより大きいだらう。フルに鳴らしてフルに走り、音楽が内なる豊かさや静けさを湛へてゐる。オーケストラも超一流。繊細で気品があり、セルの特徴だつた管と弦の透明な対位法的な味はひ、管の抜けるやうな響きは健在だが、それにメストの歌心と開放的な響きが加はつてゐる。喜びの一時だつた。

ラッセル・カーク『保守主義の精神』

アメリカ保守主義の最重要作とされるラッセル・カークの『保守主義の精神』下巻が刊行されました。最近最も啓発された著作の一つ『追跡・アメリカの思想家たち』の著者、会田弘嗣氏の訳である。今月は既に執筆と研究で時間が取れないので、来月上下を熟読しようと思っている。「さまざまな急進主義が覇権をおさめて二十世紀において、後退に継ぐ後退を強いられた保守主義は、いま、どのような再生の道がありうるのか。伝統重んじ、品位と慎慮に基づく社会を描き出す「保守主義の精神」、その可能性を示した完結編」

【サルを再び日本人に戻すという難題】

大日本帝国は統治システムとしてはたとい理由はどうあれ七十年しか持たなかったのだから、致命的な欠陥があったと見なければならないだろう。だが、文化大国、人材大国としては世界史上稀にみる大国たるを――江戸時代に引き続き――維持した。昭和戦後がその遺産を完全に食いつぶし、平成日本人は殆どサルと化した。その進化?の最先端を国会中継で毎日視聴できるのは文化人類学的には貴重な機会と言えるだろう。サルが喚く。すると人間が大真面目に答弁する。サルだから何を言っても納得しない。また吠える。それにまた答える。えんえんとそれを続ける。普通ああいう生き物は山に戻すか檻に入れて管理するほかないのだから、国会議事堂に出入り自由にしておくのは人類史の奇観と言える。サルにも仏性を認める仏教文化のせいか。
 私の仕事は、一心不乱にサルへと下降を続けるこの民族を「日本人」に戻す事。決め手は日本人だった時代の記憶。つまり日本人の思想と文学。さて、今日は文学対談集の推敲。源氏少女。パルジファル3幕。山鹿素行。安倍外交関連資料。

【安倍氏3選後の課題】

この1年4ケ月、安倍総理、安倍政権は、一部マスコミと野党の国会破壊、倒閣運動に翻弄されてきた。なぜか。倒閣側が慣習と常識を平然と破壊し続けているのに、安倍氏側が、通常の日本人の慣習尊重、建前尊重で対応し続けているからだ。破壊主義者には異次元の対応をしない限り、国力、国民益は毀損され続け、法治国家の社会慣習も日本人のモラルも破壊され続ける。
 今必要なのは、霞が関の膿を出すことではない。
 国会のゴミを追放することだ。
 もりかけを叫びながら2年連続、政権の提示する過去最大の歳出となる予算案を殆ど無審議で通すなど、議会制民主主義の自己否定に他ならない。
 民意なく国政の議論を放棄し続けるこの意味不明な存在を国会から大量廃棄する事が急務だ。民意を受け得る野党再編が最大の鍵だが、政治とは何か、国家とは何かに関する学問と修行なき現在、政治人材の余りの払底にどう対処するか。
 安倍政権は外交・安全保障・経済で原理的な政治を断行し、大成功しているが、自由社会の擁護、議会制民主主義の正常化など、内政の根本的な崩れに対しては原理的な政権構想をもっていない。
3選後の課題はそこにある。
安倍三選があろうとなかろうと安倍氏が個人的に困る理由はないだろうが、日本にとっては、内外双方の課題において、氏の三選に今後の存亡が掛かっている。
私自身、ここまで醜悪に崩れた日本の存続の為になぜ頑張るのかと思いながら、それでも頑張っている。

【日録】

5月25日に交詢社で講演(写真)、昨日は拓殖大学の公開講座で講義。いづれも現在の日本の全体主義化の危険と、明治維新に成功した最大要因としての「江戸思想」を論じた。
「近代国家システムといふのは法律の細分化、細かな人権の保護、権力の分散、資本主義市場の独立、など極めて複雑で大きな仕組みです。伊藤博文らが明治憲法といふ大変立派な憲法を起草できたのも凄いけれど、それをつつがなく運用できる社会が明治20年頃に既にできていて、殆ど混乱がなかつたのは、非常に不思議な事です。
これは幕末の志士が偉かつたとか、あるいは福沢諭吉ら明治の啓蒙思想家や薩長政権の優秀さなどだけに帰する事は、到底できないでせう。さうした短期的な対処能力の問題ではない。近代システムを作るのと運用するのは又別の話です。憲法だけ立派な国は世界に幾らでもあります。また経済力で説明するのも無理です。今でも近代システムを本当に運用出来てゐる国は少数しかない。何しろ、米中ロ三大国の内中国とロシアは近代システムで運用されてゐない。独裁制、いはば新たな帝政的な面が多分に残つてゐる。それ程近代国家システムを自前で回し続けるのは難しいものなのです。
近代システムの鍵は何か。
「自由」です。」
 そして自由は制度ではない。思想の問題だ、その鍵が江戸思想にあるといふのが私の論旨。
 今日は集団的自衛権論。ヴァグナー〈パルジファル〉を何とか二幕までバレンボイムで。山鹿素行。夕方から所用。
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【日録】

一昨日は紀尾井町会議。陽明学研究の第一人者、林田明大氏もご出席くださり、参加者の間に陽明学への関心が広がったようなのは慶賀すべき事だ。昨日は富士。田尻祐一郎『江戸の思想史』読了。集団的自衛権についての基礎資料読み込み。
今日は拓大の公開講座。「明治維新を可能にした思想の力」と題しての講演。ご興味ある方はご参加を。
今週からヴァグナー〈パルジファル〉バレンボイム、カラヤン、クナッパーツブッシュ。カラヤン論がずれ込んでいるがあとはR・シュトラウスのバラとサロメ、新ウィーン楽派を残すのみ。