【日録】

思想の仕事に早く全力を投入したいにも拘らず論壇的な仕事が重なり、焦燥の日々だ。指揮者論と文藝対談集は年内刊行を目指してゐるから4つ、5つのテーマを同時にこなしてゐる事になる。今日は外交論口述、文藝対談推敲は対談の三本目に入る。カラヤン論推敲。外交資料読みとパルジファル1幕をクナッパーツブッシュ指揮。6月、7月が胸突き八丁。焦らずに一つ一つ完成させてゆきたい。
昨晩はウェルザーメスト指揮クリーヴランド管のベートーヴェンチクルス最終日、大フーガと第九。これは素晴らしかつた。率直な、そして速いテンポで一気に駆け抜ける第九だが、ニュアンスは無限、流してゆきながら歌に満ちた至芸だ。私はフルトヴェングラー、バレンボイム、ティーレマンの重厚長大な演奏が好きだが、かう見事に音楽に溢れてゐればスタイルや解釈などどうでもいい。尤もメストのは最近の軽快なスタイルではない。コントラバス9、チェロ11と、最近ではマーラーでもお目にかからない最大規模の弦に管もかなり補強して、寧ろ編成はバレンボイムなどより大きいだらう。フルに鳴らしてフルに走り、音楽が内なる豊かさや静けさを湛へてゐる。オーケストラも超一流。繊細で気品があり、セルの特徴だつた管と弦の透明な対位法的な味はひ、管の抜けるやうな響きは健在だが、それにメストの歌心と開放的な響きが加はつてゐる。喜びの一時だつた。
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