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【岩田温氏『「リベラル」という病』】

ようやく一読したが素晴らしい。日本型の「リベラル」を真面目に取り上げて対話的な批判をくだしながら、氏自身のリベラルな保守主義との対比を試みている。最初は東京新聞、朝日新聞、池上彰氏と相手が相手だけに食傷するが、この10年、新世代の保守がきちんと対話してこなかった加藤典洋氏、内田樹氏、白井聡氏らへの批判的対話の試みは必読。共に少壮の白井氏とはぜひ、今後精密な議論のやり取りを期待したい。
こうした日本型リベラルの不可解さのみならず、共産主義そのものへの適切で簡潔な批判も含め、学識、見識共に高い本だ。ただし、リベラルが偽装的な左翼で、言論全体主義的になったり工作的になるのは現在自由世界全体の問題でもあるだろう。その点について私も仕事を進めたいが岩田氏の考えも又聞いてみたい。
今、日本の保守の大きな悩みは本来の意味での学識、教養を前提にしない論客が多過ぎて、部分的な、テーマ別の言説としてはよくとも、またその人のユニークな個性は認められても、その人の議論を総合的に受け入れたり信用してよいかについての知的疑念が拭えない事だ。(ある人の議論への信用というのは無条件の盲従ということとは別だ。)
 その意味で、言説の一つ一つに膨大な読書に裏打ちされた判断とその先で氏自身の見識が示されている本書は、保守の新しい教科書の一つと言える。
 本を読む時間を取るのが一苦労だった為、現存の著者の本の紹介もままならなかったが、感銘を受けた時には少しずつご紹介を増やしてゆこうと思う。

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