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朝日新聞よ、有難う

1 昨日、朝日新聞から6頁に渡る抗議文が届いた。著者として6頁もの論評を頂戴するのは、今日のように言論が互いに言いっぱなしの時代には稀なことだ。長文の論評をいただいたことは著者冥利に尽きる。朝日新聞よ、有難う。
2 批判の中身が荒唐無稽であった。読めば読むほど、論じれば論じる程、笑いがとめどもなく溢れてしまう。例えば「無双の情報ギャング 朝日新聞に敬意をこめて捧ぐ」という献辞に対して「事実に基づかない、弊社に対する著しい誹謗中傷」と言われても、これは「事実」でなくて私の「表現」なので(笑) それとも「ギャング」の定義について法廷で論争します? 著者にとってこうした稚拙な批判に反論する時ほど気分のいい時間はない。『アンナ・カレーニナ』の冒頭をもじれば、「賞賛の言葉は皆似たり寄ったりだが、批判の言葉はそれぞれに趣が異なっている。」なぜなら批判は個別具体的だからだ。一生懸命抗議文を拵えてくれて、朝日新聞よ、有難う。
3 昨日はマスコミ批判本第二弾『徹底検証 テレビ報道「嘘」のからくり』の発売日だった。また、森友・加計本は発売から1か月、Amazonでの売れ行きが落ち始めたところだったが、朝日新聞が宣伝してくれたおかげで売れ行き好調である。著者として本の売上に貢献してくれる存在ほど有難いものはない。朝日新聞よ、有難う。
4 私は世の朝日新聞全面否定者と違い、文化新聞としての朝日を、元々は高く買ってきた人間だ。漱石、岩波文化人らの血脈は言うに及ばず、若い頃は、いつか吉田秀和の「音楽展望」のような仕事を朝日新聞紙上で連載してみたいと思っていた。吉田さんの「音楽展望」! お向かいの小林秀雄夫人が亡くなった時のもの。中也も引き合いに出して実に美しい一文だった。ご自分の奥さんを亡くされた時の絶唱。バーンスタイン死去とチェリビダッケのブルックナーチクルスでの来日が重なった時の一文もよく覚えている。チェリのブルックナーをゴッホになぞらえた大変な着眼。朝日新聞よ、折角こうして縁ができたのだ。喧嘩が一段落したら文化欄に書かせてください。そうしたら改めて言うことになるだろう、朝日新聞よ、有難う。
5 私の本で最も売れないのは言うまでもなく『小林秀雄の後の二十一章』だが、ぜひ抗議文を書いてくれないだろうか。「この本ではルソーに対して取材せずに書いている」「ドストエフスキーにも取材しないでドストエフスキーを論じている」「小林秀雄と福田恆存と三島由紀夫の鼎談は事実に基づかない著しい誹謗中傷だ」と。朝日新聞が抗議してくれれればベストセラー間違いなしだ。そうなれば僕はきっと築地に行ってマイクで叫ぶだろう「朝日新聞よ、本当に本当に有難う!」
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