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偶感

私の住んでゐる世界は、魂の探求の世界だ。森友・加計本のやうな本でさへ、私は全身全霊をぶつけるやうに書いてゐる。
が、これからは、愈々日本人の魂の物語、人類の魂の物語を並行して書き続ける、その日々に今入らうとしてゐる。強烈な政治の世界と静かな真善美の研究執筆――私は、今、そのギャップに自分の身を持て余しながらなんとかバランス点を見出さうとしてゐるといふ所だらうか。
国家への没頭のこの7年は世俗ではなく、それ自体私にとつては神事だつた。しかし、多くの人にとつて政治は神事ではあるまい。私は住んでゐる世界の違ひに疲れきり、混乱してゐる。これは無論愚痴ではない。我、事において後悔なし(宮本武蔵)暫くすれば私の心も澄み、定まりを見出すであらう。
今日はいつものやうに論語、源氏。川端康成の『東京の人』が凄くて溜息が出る。新聞連載の通俗小説といふわけにはゆかない痛い、怖いまでの人間の心理劇を、風俗の描写の中に活かして、息苦しい。結構が壮大で、川端の作家的な可能性の一方を示してゐる。文章は川端にのみ可能な亀裂と飛躍と洞察に溢れてゐる。この大長編をあまりプランもなしに書いてゐたのだらう。呆れた人だ。
トリスタンは、昨日、久しぶりに再開。ティーレマンで第三幕。ウィーンでのライヴで歌唱や録音は必ずしもよくないが、この人がオケから出す響きとリズムは怒涛のやうで、否応ない興奮を掻き立てる。カラヤンのリリックな美しさやクライバーの整理されたドラマツルギーと違ひ、波に呑まれてゆく強烈な陶酔だ。この人が今現役で毎夏トリスタンが生で聴けるといふのは凄いことだ。もつとも私はこの数年バイロイトに行つてゐないからティーレマンの生のトリスタンは経験してゐないが。今日は、多分、ベームとカラヤンで二幕。
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